真夏のノスタルジア

近況報告って訳ではないけど、まぁ昔の思い出話なんぞを
某所の知人の日記を見てと昨今の真夏日到来で、まるがに若き日の夏日なんてのを思い出してみるわけよ。
東北でも30度越す真夏日はあります、期間は2−3週間くらいだけど


小生の場合、夏といえば何を連想するかというと
小学生辺りまでは、ラジオ体操と茄子
家は貧乏でしたが土はあったので、野菜は自分家で育ててました。
夏休みの毎朝6時半からのラジオ体操は、いつも一番乗り。だって体操する広場から一番家が近かったから。
スタンプもらって家に帰ると、台所から匂ってくるのはいつも茄子を油で炒めている匂い。
採れたての茄子を二つに割って、表面に格子に切れ目を入れ、たっぷりのサラダ油で炒めて生姜醤油で食べるのが、我が家の夏の定番朝食メニューだった。
あと、宮城特産のあぶら麩という食材があって、これと茄子の相性が良い。
茄子とあぶら麩の味噌汁とかうどんを食べると、夏が来た気持ちになる。


関東でも昨今「仙台麩」という呼び名であぶら麩が手に入るのは嬉しい
のだが・・・正確にはあぶら麩は宮城の北の方で主に食べられていた食材で、仙台で食べられるようになったのはここ20年弱の事なのだよ。なのでまるがに仙台麩って呼び名にちと違和感。


次に夏を思い出すものといえば
タチアオイとカキ氷フロートと高校野球


中学高校になると、上の兄弟就職して家には自分と親しかいないので、買物は主に自分の担当だった。
真夏の最中、親からカキ氷にバニラアイスの入ったフロート状のカップアイスを買ってきてくれと金を渡されて自転車で数分の駄菓子屋に行く。


真夏で、しかも最も暑さが増す昼下がり
真っ白に乾いた道路を往来する人影は殆ど無く、開け放たれた民家の中では、扇風機の
ぬるい風に当たって誰しもが惰眠を貪っている
そんな家々の側を横切るとき、決まって聞こえるのはTVから漏れる高校野球の応援とt実況のアナウンス。
庭先には、2メートルを越す垂直に伸びた枝の所々にタチアオイの花が咲いている。


タチアオイの花は、ハイビスカスと良く似ているけれど、南国の華々しさには少し遠い。
色はピンクや真紅と言った一見華やかな響きだが、その花弁は上質な薄手の和紙を集めて作ったような慎ましさを持っているように思われる。
だから、田舎の民家の庭先に咲いて似合うのかと思い出される。


高校を卒業して就職して、真夏でもエアコンの効く便利な環境になってから、今まで感じていた夏の風情が消えた。
緑も無いアパートやマンションの路地を歩いていて、生ゴミの腐敗した匂いが蒸し暑さに混じって身を取り巻くとき、夏を感じるようになった。


田舎道に咲いていたタチアオイの紅を思い出すと、少し切なくなる。