駒ノ湯を悼む

タイトルから察するように、湿っぽい内容です。
苦手な方は次回をお待ち下さい。


先日の大地震で全国にニュースに挙がった宮城の「駒ノ湯温泉」
痛ましい事態になってしまいました。
ネットで調べたところ、この温泉の創業は1617年。400年近く続いた山奥の温泉宿です。
私は小さい子供の時から、年に一回は親子でこの温泉に来ていました。


ある夏、私はアセモが酷くて、背中一面のアセモに親子共々悩まされていました。
無数の湿疹が背中に出来て、毎日のように軟膏とパウダーを塗っても良くならず、痒さが辛かったです。
そんな年も夏の終わり、親子で「駒ノ湯」に行きました。
硫黄の濃いお湯で、浴槽やパイプには硫黄がびっしりと付いているお風呂です。


湯から上がって暫くし、私の背中からアセモが消えていました。
あれほど薬を塗っても治らなかったアセモが、温泉の湯で治されたのです。
それから毎年、夏休みの終わりに「駒ノ湯」に出向きました。
アセモが癒されて、ホッとしながら夏休みの終わりを迎えていた宿です。


今報道されている姿は泥流に覆われ見る影もありませんが、
新緑と綺麗な沢に囲まれた素朴な温泉宿です。
宿の窓から見た木々の緑と、トンボの群れが思い出されます。
この宿の側からは美味しい湧き水が出ます。
今まで飲んだ水の中で、一番美味しかった。

長年続いた老舗の温泉、経営者は誇りをもっていて、お客さんは湯浴みを楽しみに訪れていたことでしょう。
この大地震で亡くなった経営者の方、立ち寄ったお客様の冥福を心からお祈りします。


私の皮膚を癒してくれたあの温泉の、今の姿がただ辛い。